ミニ・ミュンヘンを支える大人たち 行政について

ミニ・ミュンヘンにかかる総費用の約4割をミュンヘン市が支援しています。年々減ってきたとは言え、かなりの部分を負担していますし、市はミニ・ミュンヘンの他にも市内の多くの遊びプログラムを支援しています。その背景には、市と市民団体の協力関係が構築されていました。

ミュンヘン市社会局青少年課 Jonna Somma 氏へのインタビュー

ミュンヘン市は、なぜミニ・ミュンヘンを支援しているのですか?

ミュンヘン市は、なぜミニ・ミュンヘンを支援しているのですか? ミニ・ミュンヘンは、ミュンヘン市の夏休みのプログラムのひとつとしてとても重要で、教育的に見ても良いプログラムなので支援しています。
主催者のKultur & Spielraum e.V.に対しては、地域ごとの小規模なイベントも支援していますが、ミニ・ミュンヘンはそれを一カ所に集めて集大成的にやっており、非常に良いイベントだと思っています。
ミニ・ミュンヘンは長い期間継続的に実施され、毎回進化しています。子どもたちのアイディアでますます魅力的になってきている点は、市としても評価しています。また、両親たちにも信頼されている点もよいと思います。
これだけ大規模なプログラムを実施するには相当な費用が必要で、このようなプログラムに対して市が支援するのは当然のことだと考えています。Kultur & Spielraum e.V.は、私たちのパートナーです。

青少年課の仕事をおしえてください。

市が直接プログラムを実施することはなく、民間のプログラムを支援するのが、青少年局の仕事です。夏休みやクリスマス、復活祭等、学校が休みの期間中に実施される、NGOが企画してきたプログラムを選別し、支援します。
他に支援しているものとしては、例えば、山に泊まりにいくプログラムや、工事現場を見学するプログラムなどがあります。
夏休みに家族で出かける時に使える「家族パス」(交通機関の割引)なども発行しています。 ミュンヘン市は、なぜミニ・ミュンヘンを支援しているのですか? ミュンヘン市では、ミニ・ミュンヘンを含めた、その年に実施予定の子どもプログラムの全リストを掲載した新聞を毎年発行しています。市内にはKultur & Spielraum e.V.のような子どものためのNPOが多くあり、これらが実施する各種プログラムは約400件にのぼります。 なぜ、市は市民団体に対してこれほどまで支援するのでしょう。それは欧州で浸透している「補完性の原理(基礎自治体に出来ないことや、基礎自治体より上位の連合体や州が行った方がよい場合に上位の機関が行うという考え方)」によるもので、こうした考え方が、行政とNPOとの関係のベースにもなっているようです。(参考:木下勇「ドイツのミニ・ミュンヘンと補完性の原理」)・行政と民間が上下の関係ではなく、パートナーシップの関係を築き、市民に対してよりよいサービスを提供するのだという考え方はとても合理的です。しかし、こうした考え方を日本で実践するのはとても難しく歯がゆいところです。民間の良い活動に対して、行政は敬意をはらっていて、そうした信頼関係の上で、ミニ・ミュンヘンのような活動が成り立っていることが分かります。

2010年8月18日ミュンヘン市庁舎にてインタビュー、
取材:松本和世、協力:Dr.Lukas Kurtz / Ms. Nozomi Kurtz
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